この記事では、過去10年で急成長したビジネスモデル「SaaS」についてどこよりもわかりやすく解説します。
SaaSとは?読み方と意味を解説
SaaSは、Software as a Serviceの略語で、「サース」または「サーズ」と読みます。
日本語に訳すと「サービスとしてのソフトウェア」。
ソフトウェア企業がクラウドネットワーク上にアプリケーションを構築し、インターネット経由で顧客に提供する事業形態です。
これにより、顧客は従来のソフトウェアのようにインストールされた端末だけでなく、インターネット接続とウェブブラウザがあればPCやスマホといったどの端末からでもソフトウェアにアクセスできるようになります。

クラウドとは?
SaaSを理解するために知っておかないといけないのが「クラウド」という概念。
仮想の空間にインターネット経由でアクセスするという方法で、SaaSを提供する前提となる技術です。
クラウドについて詳しくは【図解】クラウドとは?初心者でもわかりやすく解説をご参照ください。
対になる概念:オンプレミス
SaaSという形態をとらない場合、多くのソフトウェアは端末にインストールする形で提供されています。
サーバーやソフトウェアなどの情報システムを使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用することを「構内」「店内」の意味であるオンプレミスと呼びます。
SaaSの市場規模
SaaSの国内市場規模は2020年度時点で約1兆円。
2024年度には1.6兆円になると予想されており、後ほど解説するIaaSやPaaSと比べても今後大きな市場拡大が見込まれます。

IaaS/PaaSとSaaSの違いは?
SaaSと並列で理解したい概念として、IaaSやPaaSがあります。
- SaaS(Software as a Service)
- データセンターからアプリケーションまで必要なサービスがすべてクラウド上で提供される形態
- PaaS(Platform as a Service)
- OSやミドルウェアまでクラウドで提供され、アプリケーションは各社
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- データセンターやネットワーク、サーバーなどがクラウドで提供される形態
詳しくは、SaaS/PaaS/Iaasの違いをご覧ください。

SaaSの代表例を解説
SaaSの身近な例としては、電子メール、カレンダー、オフィスツール(Microsoft Office 365など)があります。
コミュニケーションツール
GmailやYahooメールなど、普段個人として使っているメールツールも実はSaaS。
そのほか、Slackやチャットワークなど業務で使うコミュニケーションツールも多くがSaaSの形態で提供されています。
ストレージ
GoogleドライブやDropboxなど、ファイルを保管するためのサービスもSaaSで提供されています。
会計ソフト
元々、企業が使う会計ソフトはオンプレミスといってパソコンにインストールする形で提供されてきました。
それがこの10年のクラウド技術の進化もあり、SaaSの会計ソフトの市場が急拡大しています。
freeeやマネーフォワードといった新興勢に追随するように、弥生会計や勘定奉行といった老舗もSaaSでの提供に力を入れています。
電子サイン
コロナ禍で一気に広がった電子サイン。
クラウドサインやGMOサインなど、この分野でもSaaSの市場は急拡大しました。
SaaSのメリットとデメリットをそれぞれ解説
SaaSは近年急速に伸びてきているビジネスモデル。
当然多くのメリットがありますが、その一方で留意すべきデメリットも存在します。
期待できるSaaSの6つのメリット
SaaSのメリット①:アクセス性
インターネット環境があれば、どの端末でもどこからでもアクセスできるのがSaaSの強み。
複数人で同時にアクセスして共同作業することも可能です。
SaaSのメリット②:運用管理が簡単
サービスの運用管理はSaaS企業がすべて担います。
機能のアップデートも自動で行われるため、運用面での負担が圧倒的に少ないです。
SaaSのメリット③:費用対効果が高い
SaaSは多くの場合、初期費用は発生しません。
月額か年額の課金体系のため、試してみて合わなければ解約することが可能です。
SaaSのメリット④:拡張性がある
SaaSの魅力の一つとして、他のサービスとの連携が容易にできることが挙げられます。
APIという仕組みを使うことで、全く別のSaaS企業のサービスでも自動的にデータを連携することも可能。
事業のフェーズやニーズの変化に合わせて、ソリューションを拡張することができます。
SaaSのメリット⑤:データ保存容量
自社でサーバーを立てる場合、データ容量に応じてサーバーも増強する必要があります。
それに対し、SaaSはデータ容量を気にせずに使えるのもメリットの一つです。
※ データ容量に応じて課金体系が変わるSaaSもあります。
SaaSのメリット⑥:セキュリティ
多くの個人や企業にサービスを提供するSaaS企業は、セキュリティにも多大な投資を行っています。
自社でソフトウェアを運用するよりも高いセキュリティが期待できます。

留意したいSaaSの3つのデメリット
SaaSを導入することで多くのメリットを享受できる一方で、注意したいデメリットも存在します。
SaaSのデメリット①:インターネット接続の必要性
SaaSを利用する上での最大の課題は、インターネットの接続環境です。
SaaSはクラウドを介してサービスを利用する形態のため、基本的には常時インターネットに接続する必要があります。
ネット回線の遅延などで動作が重くなることもあるでしょう。
WiFiや5Gのような高速ネットワークがますます普及してくるため、この課題は少なくなっていくでしょう。
SaaSのデメリット②:カスタマイズ制限
SaaSはパッケージで提供されることが一般的なため、個別企業の業務特性に合わせたカスタマイズは期待できません。
システムを自社の業務に合わせるのではなく、自社の業務フローをシステムに合わせて変える必要があります。
SaaSのデメリット③:セキュリティ
SaaSのメリットにも挙げたセキュリティ。しかし残念ながらセキュリティ面で不安を抱えるSaaS企業も存在します。
ある程度市場に普及しているSaaS企業であれば万全なセキュリティが期待できますが、まだスタートしたばかりのSaaS企業のサービス等はセキュリティにも留意する必要があるでしょう。
機密データの管理方針や障害時の対応については、導入前にしっかりと検討する必要があります。

代表的なSaaS企業(海外・国内)
ここからは、SaaSを提供している代表的な企業を紹介します。
海外のSaaS企業
電子メールやメッセージング・アプリは、SaaSの代表的な例です。
- Google:Google Workspace(Gmail, Googleカレンダー, Googleスライド等)
- Microsoft:Office365, Teams, Outlook等
- Yahoo:Yahooメール等
The・SaaS企業:Salesforce(セールスフォース)
GoogleやMicrosoftなどの巨大企業の他に、売上のほとんどすべてをSaaSが占めている会社もあります。
その代表例がSalesforce。
顧客関係管理(CRM)や営業支援システム(SFA)を展開するSaaS企業として最大規模の会社です。
同じくSaaSとして有名なslackを買収したことも大きな話題になりました。
CRMについては、【図解】CRMとは?意味やSFA・MAとの違いをわかりやすく解説をご覧ください。
コロナ禍で大躍進のZoom(ズーム)
コロナ禍で一気に広まったオンライン商談。
そのツールの代表例がZoomです。
Dropbox(ドロップボックス)
Dropboxはファイル保管機能を提供するSaaS企業です。
国内の代表的なSaaS企業を紹介
国内でもSaaSビジネスは盛り上がってきています。
この10年で、多くのSaaS企業が誕生しサービスを大きく展開しています。
その中でも時価総額の高い企業をいくつかご紹介します。
経費精算で有名:株式会社ラクス
経費精算ソフトの「楽楽精算」や販売管理ソフトの「楽楽販売」を提供するラクス。
近年急成長中のSaaS企業です。
CMが印象的なSansan株式会社
名刺管理ソフトSansanを提供。「それ、早く言ってよぉ〜」のCMが有名ですね。
クラウド会計トップシェア:freee株式会社
freee会計やfreee人事労務といった、バックオフィスのソフトを展開するfreee株式会社。
国内の代表的なSaaS企業としてよく名前が挙がる会社です。
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