
クラウドって最近よく聞くけど、実はよくわかってないんだよなぁ
この記事では、デジタルを活用した新規事業・人材育成のサポートを行っているBIZGROW編集部がクラウドのすべてを徹底解説します。
クラウドとは
「クラウド」は、一般的にはクラウドサービスやクラウドコンピューティングのことを指します。
クラウドは英語の「Cloud」つまり、「雲」が語源のIT用語です。
プラットフォームからインターネット経由でコンピューティングやデータベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとした、さまざまなITリソースを利用できるサービスの総称がクラウドサービスです。


政府も認める「クラウド・バイ・デフォルト原則」
政府機関が用いる情報システムではクラウドサービスの利用を第一候補として検討する「クラウド・バイ・デフォルト原則」※が出されるほど、その有効性が認められています。


コンピュータの歴史とクラウドコンピューティング
「クラウドコンピューティング」という言葉は、2006年にGoogleのCEOエリック・シュミットが提唱しました。
コンピューターの歴史は「メインフレーム時代」「クライアント/サーバー時代」「Webコンピューティング時代」「クラウドコンピューティング時代」の4つに分けられます。
メインフレーム時代に大型で高価だったコンピューターは、クライアント/サーバー時代、Webコンピューティング時代を経て小型化し、安価になっていきます。
安価になったことで利用台数が増え、アプリケーションの配布がネックとなりますが、Webブラウザを通じてアプリケーションにアクセスすることで問題は解消されます。
しかし、サービスが乱立したことで、次はサーバーの管理・統合が課題になりました。
この課題解決に必要とされた手法がクラウドコンピューティングです。


オンプレミスとクラウドの違い
従来、企業のシステムはオンプレミス」で構築されてきました。
オンプレミスとは、自社でサーバーを立てて各端末にデータをインストールすることでソフトウェアを利用する方法。
これに対してクラウドコンピューティングを使えば自社でサーバーを用意する必要なく、かつ複数の端末で同じソフトウェアが利用できるようになります。


クラウドの市場規模
2020年度時点で、国内のクラウド市場規模は約2.9兆円。
2025年度には6.6兆円になるとの予測も出ており、今後市場は急成長する見込みです。


クラウドサービスの種類
クラウドサービスは大きく3種類に分類できます。それぞれの特徴や読み方、代表例について解説します。
SaaS
SaaSは「Software as a Service」の略で「サース」と読みます。
パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネットを経由して利用できるようにしたものを指します。
たとえば、GmailやDropbox、Evernote、SalesforceがSaaSの代表例です。
SaaSはどんな端末からでもアクセスでき、複数人がデータにアクセスして編集や作業を行えます。
SaaSについて詳しくは、【図解】SaaSとは?読み方や代表例、SaaS企業をわかりやすく解説をご覧ください。
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略で「パース」と読みます。
アプリケーションソフトが稼働するためのハードウェアやOSといったプラットフォーム一式を、インターネット経由で提供する形態を指します。
代表的なサービスとしてはGoogle App EngineやMicrosoft AzureのApp Service、Amazon WebService(AWS)のLambdaやElastic Beanstalk。
さらに日本製のサービスではサイボウズのkintoneもPaaSの一種と言えます。
これらのプラットフォームで開発されたサービスやアプリケーションは、自社内で利用するだけでなく顧客にも提供できます。
PaaSではコストや労力を抑制し、素早くシステム開発を進められます。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で「イアース」と読みます。
システムを稼働させるのに必要な仮想サーバーや回線といったインフラを提供します。
代表的なサービスはAWS(Amazon Web Services)とGCP(Google Cloud Platform)。
実は日本製でも、さくらクラウドというサービスが存在します。


クラウドサービスのメリット・デメリット
クラウドサービスのメリット・デメリットについて解説します。
クラウドサービスの6つのメリット
クラウドサービスのメリットは6つです。
- 導入コストの削減
- システム構築の時間短縮
- メンテナンスが不要
- どこでも利用できる
- サービス感連携の柔軟さ
- キャパシティ予測が不要
クラウドのメリット1:導入コストの抑制
クラウドサービスの一番のメリットは、サーバーやソフトウェアを購入せずにすみ、導入コストが抑えられることです。
サーバーやソフトウェアなどのサービスがインターネット経由で提供されるクラウドでは、ユーザーはサービスを所有する必要がありません。
必要なときに必要な分だけリソースを利用できます。
サービス導入時に必要なのは月額費用だけです。
クラウドのメリット2:システム構築の時間を短縮
システムをいちから自社で構築すると、多くの工程や時間が必要です。
しかし、クラウドサービスを利用することで開発期間を短縮し、素早く運用を開始できます。
たとえば、自社でシステムを構築するならサーバーを立てる必要がありますが、クラウドサービスなら必要なときに仮想サーバーのリソースを使えます。
クラウドのメリット3:メンテナンスが不要
自社で運用するサーバーはメンテナンスやバックアップ、最適化が定期的に必要です。
たとえば、バックアップはサーバーと同じだけのリソースが必要なため、企業にとって重い負担となります。
クラウドサービスなら、サービスを提供している運営元が管理やメンテナンスを請け負っています。
データの保全やバックアップ体制がしっかりしており、ユーザーによるメンテナンスやバックアップは必要ありません。
クラウドのメリット4:どこでも利用できる
クラウドサービスはインターネットに接続できればどこでも利用でき、端末も選びません。
スマートフォンやタブレット、パソコンといった端末を選ばず、いつでもどこでもチャットやファイルの共有、タスク管理が可能です。
複数人で共同作業も可能のため、リモートワークにも最適な手段と言えるでしょう。
クラウドのメリット5:サービス間連携の柔軟さ
クラウドサービスではAPI(Application Programming Interface)技術によってサービス間の連携がしやすいことも大きなメリット。
別会社が提供するSaaSプロダクトのマスタ情報を連携したり、データ連携によって重複作業を減らしたりすることによって大幅に業務の効率化が図れます。
APIについては別記事で詳しく解説しています。
クラウドのメリット6:キャパシティ予測が不要
クラウドは必要に応じてリソースの増減を行えるので、リソースの最大容量を予測して備える必要がありません。
導入に先立ちキャパシティを決めてしまうと、高額で無駄なリソースが発生する可能性もあります。
クラウドではリソースに応じ、短時間でスケールアップやスケールダウンが行えます。


クラウドサービスのデメリット
クラウドサービスのデメリットは主に次の2点です。
- カスタマイズが困難
- サーバーの安定性やセキュリティリスク
クラウドのデメリット1:カスタマイズが困難
オンプレミスのシステムは自由にカスタマイズできますが、クラウドで提供されているソフトウェアはカスタマイズが制限されます。
自由度の点において、クラウドサービスはオンプレミスのシステムに劣ります。
クラウドのデメリット2:サーバーの安定性やセキュリティのリスク
クラウドサービスは運営元が管理の大部分を担当しています。
だからこそ、メリットの1つとして挙げたように、ユーザーによるメンテナンスやバックアップが必要ありません。
しかし、サービスの安定性やセキュリティも運営元に依存します。
運営レベルによっては、安定性やセキュリティにリスクが生じる可能性があります。


クラウドサービスの提供形態
クラウドサービスの提供形態は「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに分かれます。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとはクラウド上に用意されたリソースを不特定多数が共有し、利用する形態です。
表現を変えれば「利用者を限定しないオープンなクラウド」がパブリッククラウドです。
パブリッククラウドは専用のハードウェアを所有することなく、利用したい人が必要なときに必要なだけ、自由にサーバーやネットワークリソースを使える仕組みです。
パブリッククラウドはオンラインで申し込みすると、すぐに利用できるのが一般的です。
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、企業や組織が自社専用のクラウド環境を構築して社内に提供する形態を指します。
従来の社内システムのように、自社で設計や管理を行うので自由に設計できます。
セキュリティ面で独自のセキュリティポリシーを適用し、強固なセキュリティを実現することも可能です。


企業がクラウドを導入する際の進め方
ステップ1:方針と対象とする業務範囲を決定する
クラウドは、初期導入費用が少額で気軽に利用が開始できる反面、統制についての考慮が欠かせません。
たとえばクラウド活用方針を曖昧にしたままクラウド活用を進めてしまうと各部署が自由に利用してしまい、結果として情報漏洩や高額な利用料請求に繋がってしまうリスクがあります。
そのため、まずは次のような事柄について社内で明確に決定する必要があります。
- クラウド活用対象とするシステム種別
- 例:当初は顧客接点のシステムが対象、基幹系システムは対象外等
- 取り扱うデータの種類
- 例:真に機密情報はクラウドにアップロードしない
- セキュリティ
- 例:限定されたIPアドレスからしかアクセスを許諾しない
- ガバナンス
- 例:クラウド契約は社内の管理部署経由で行う
ステップ2:利用するクラウドサービスの選定
次に、実際に利用するクラウドサービスを選定します。
期待する機能要件は満たしているか、耐障害性などのサービスレベル、オンプレミスからの移行のしやすさ、セキュリティ基準に準拠しているか、コスト見込みなどが基準となります。
基本的に、まずはSaaSで、当てはまるものがなければPaaSやIaaSを使いながら自社開発も含めて検討するとよいでしょう。
ステップ3:クラウドサービスに移行する
いよいよクラウドへの移行を進めていきます。
クラウドの特徴である、容易に利用開始、利用停止できる点を活かし、概念検証(Proof of Concept; PoC)の実施を行うのもよいでしょう。
クラウド、特にSaaSはカスタマイズが困難という特徴があります。
システムを業務に合わせるという発想ではなく、業務フローをシステムに合わせて変えるという発想でクラウド移行を進めるのが成功の肝です。
ステップ4:クラウド移行後も継続的に運用見直しを行う
クラウドは日々進化を続けています。
構築時にはベストプラクティスだった構成も、数年経てば新たなサービスが提供され状況が変わることが容易に起こり得ます。
そのため、進化するクラウドに追従可能なクラウドを活用する人材の育成も必要となるでしょう。


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